2000年代の世界経済は、グローバル化の進行を受け、中国を筆頭にBRICs(ブリックス)が大きな発展を遂げました。安い労働力を求めて企業はグローバル化。中国は「世界の工場」と呼ばれ、先進国では「産業の空洞化」が進行。新興国の発展と先進国中産階級の没落が進行しました。
2010年代には、産業の空洞化=中産階級の没落→中国の人件費高騰=ネクストチャイナ(チャイナ+1)にも限界が見えてきました。それを象徴する出来事こそ2016年に起きた2つのサプライズ、ブレグジットとトランプ大統領の誕生です。2016年以降、EU離脱の風潮と保護主義が台頭、限界点に達しつつあった「グローバリズムの巻き戻し」が始まりました。
「次はベトナムだ、次はミャンマーだ」といって安い労働力を求め続けても、これが永遠に繰り返せるほど世界が広くない事は、誰の目にも明らかです。後進国が中進国になれば、旺盛な消費も一服するでしょう。
2020年代に入れば、世界中に投資し尽くされて、開拓するところが無くなります。加えて技術革新により大量生産された製品が世界中に溢れかえっており、物が余ってきます。世界人口が増加しているものの、先進国は高齢化への道を進んでおり、旺盛な消費とは縁遠くなっています。
さらに低いコストで生産された製品の品質が良くなり、人々は高価な商品を買う必要が無くなります。iPhoneが高くて高性能でデザインも良いのは変わりません。変わったのはHUAWEI(ファーウェイ)やOPPO(オッポ)が安くて高性能でデザインが良くなった事です。
それでもアップルは大きなシェアを持っており、新機種の販売以外でも利益を上げることが可能。今後も最高益を更新してくるかもしれません。しかしながら、高価格の物が売れる時代は終わったと考えられます。日本でも高級ブランド品を好んで買うのは、中国人観光客だけになるでしょう。
中国では元資産ではない資産性があるもの(高級腕時計・宝飾品・金・高級バック・海外不動産)は景気に関わらず人気があります。日本では本物のブランド品が買えるし、距離的にも近いというメリットがあります。日本は今後も観光業だけは良さそうです。
こういった世界景気の現状を踏まえると、2020年代は、先進国も新興国・後進国も「大きな経済成長は見通せない」という時代になると考えられます。一部業界の人手不足から、ある程度の賃金上昇は見込めるかもしれません。しかしながら、中産階級が没落すれば、安い人件費で大量生産した物を輸出する先が無くなります。
金利は低く抑えられ、次なるフロンティアも枯渇、人々は物を買わなくなります。「賃金が上がっても(物に満たされているため)旺盛な消費には繋がらない」これが2020年代の世界かと思います。賃金上昇による多少のインフレ圧力があっても、旺盛な消費(供給不足)によるインフレは起きそうにありません。
おそらく世界の中央銀行は似たような見方をしており、インフレオーバーシュートを容認する方向へ向かうでしょう。 株価の上昇は勢いが弱まり、資金は行き場を探し始めるでしょう。おそらく長期的には金(ゴールド)であったり、欠点の ない実用性のある暗号通貨(仮に登場すれば)へ向かいそうです。
この辺が、米ドルと米株価ピークアウトの兆候です。FRBはハト派へ傾倒する事で、高い株価の維持を目指すでしょう。
※当ブログの見解は、あくまでも管理人ZEROの個人的な見解です。最終的な投資判断は、必ずご自身で行って頂きますようお願い申し上げます。